11月も半ばが過ぎ、羽子板、破魔弓をお買い求めに見えるお客様が増えてまいりました。同時にお雛様のご予約もいただいております。
今年も人気は三段飾りのようですが、お殿様、お姫様おふたりだけの「親王飾り」も近年増えてまいりました。
「飾る場所」「しまう場所」の制約があるから。という理由で、全国的に小振りな品が好まれる傾向にありますが、同時にちょっと個性的なお人形を探しに見えるお客様も増えております。
こちらのお雛様は、正絹丹後ちりめんの留袖を衣裳に使用しています。
留袖は、婚礼の際の既婚女性の第一礼装で、黒地に絵羽柄の裾模様があるのが特徴です。
江戸時代に、若い時に着用した振袖の長い袖を結婚後に短くし、身八口を縫い留めたことから、これらの着物を「留袖」と呼ぶようになりました。当時は、「袖に神が宿る」といわれ、切り取った袖で生まれたお子様の一ツ身の着物を仕立てたそうです。お母様の振袖の袖で作った一ツ身は、お子様を守ってくれるものとして、たいへん縁起の良い品と信じられていました。
写真のお人形は、実際に人間用に仕立てた留袖を用い、絵羽柄部分を中心に使用して制作されています。
柄の大きさを生かすように、お雛様としては大きめの京七番というサイズです。飾った場合は、間口が120cm位になります。
このサイズですと、1着の留袖から1組しか出来上がりません。赤ちゃんの初節句をお祝するのに相応しい、贅沢な一品です。店頭にてご高覧頂けますれば光栄です。