全日本人形専門店チェーンの研修を兼ねて、約20年ぶりに京都御所の参観に行ってきました。
御所は平安遷都から明治初年までの約千年、皇居として尊ばれた地ですが、おひなさまにとっても最もゆかりのある場所です。
雛人形の七段飾りは京都御所の紫宸殿がモデルになっています。
紫宸殿は御即位式などが執り行われた最も格の高い正殿で、京都御所の象徴的な存在ですが、現代のおひな飾りは、紫宸殿でのひとコマを表現しているといえます。
紫宸殿の脇には、おひなさま飾りでお馴染みの桜橘が植えられています。
今の季節は、桜の花も橘の実もなく、ただ青々とした葉だけが目につきますが、春ともなれば桜の花が華やかに咲き誇ることでしょう。
残念ながら、朱塗りの承明門から先には立ち入ることが許されず、白砂の庭の向こうに堂々と鎮座する紫宸殿は遠方から眺めるのみでしたが、その荘厳な雰囲気は十分に感じ取ることができました。
おひなさま飾りは、紫宸殿の高潔な風格を映した小さな御所として、日本の人々の心に続いているものなのだな。と感じた次第です。
向って右が「左近の桜」。向って左が「右近の橘」